Reports レポート

ニフティクリエイティブデザイン部の部員が参加した、「セミナー」や「展示会」のレポートです。

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担当- 村上 大樹

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担当- 三瓶 香奈

日付- 2012年05月09日

SMW:【ソーシャルなキャンペーンってどうでしょう?】の巻

ソーシャルメディアウィークとは?

「ソーシャルメディアを利用したマーケット開発」を目的に、2009年2月からニューヨークで始まったイベント。
現在では、ソーシャルメディアの認知・利用を高めることを目的とする内容に変化しており、業界以外の一般の人も多く参加、全世界で約3万人を動員する巨大なイベント(※)となっています。日本では、世界から遅れること4年、2012年2月に開催されました。
初めての開催にもかかわらず、期間中、数多くのセッションで盛況を呈したソーシャルメディアウィークジャパン。私たちが参加したセッションの中で何を見てきて何を感じたか? 印象に残ったものを取り上げて、紹介します。
※参考資料:Social Media Week Tokyo パンフレット

Vol.01:【ややこしい問題を解決する「統合知」という方法論】の巻
Vol.02:【ソーシャルなキャンペーンってどうでしょう?】の巻
Vol.03:【急成長するソーシャルゲーム市場における勝ち組が語る未来】の巻

■ソーシャルメディアウィーク:【ソーシャルなキャンペーンってどうでしょう?】の巻

多くのキャンペーンを成功に導いているクリエイティブディレクターが語る「ソーシャルメディアを使ったキャンペーンの作法」。
事例を踏まえつつ、ソーシャルメディアを使うときに大事にしていることなど、そのエッセンスを聞いてきたので、レポートします。

◆登壇者◆

株式会社バスキュール
代表取締役/クリエイティブディレクター
朴 正義 氏

株式会社電通
クリエーティブ・ディレクター/コミュニケーション・デザイナー
岸 勇希(Yuki Kishi) 氏

PARTY
代表取締役/クリエイティブディレクター
原野 守弘 氏


◆内容◆

【1】原野さん(司会)

●森の木琴/docomo 「TOUCH WOOD SH-08C」 CM

写真 森の木琴
Web CMキャプチャ。森という自然と木琴という人工物との調和が感じられる。

・「TOUCH WOOD」のテーマである間伐材に興味を持ってもらうという趣旨で、森の中にある木琴の上を球が転がって心地よい音楽を奏でるWeb CM。

・見ていて癒されるようなこのムービーには、メイキングが要所要所で挟まれている。カメラ、マイクやムービーを作る人。
「ただ木琴が音を奏でるムービー」ではなく、そこに人が介在することで親近感を抱かせているところがポイント。

・それと、ネーミング。「森の木琴」と聞いて、すぐにイメージが湧く、伝わる、そのネーミングを考えることも重要。


【2】朴さん

●SPACE BALLOON PROJECT/SAMSUNG 「GALAXY SⅡ」

Webサイトキャプチャ
Webサイトキャプチャ。イントロに設営の様子がムービーで流れる。ダイジェストやメイキングムービーはYouTubeに掲載。

<成果>
閲覧 380,000PV/Ust最高視聴者 590,000人/tweet数 90,000

<目的>
本物の感動体験&共鳴装置作り

<概要>
・みんなの願いや夢などのメッセージをSAMSUNGのGALAXY S Ⅱにのっけて宇宙に飛ばすプロジェクト。

・SAMSUNGがあまり日本で浸透しきっていないこと、「GALAXY」というネーミングなどの背景から宇宙に飛ばす、という壮大な企画になった。

・みんなの「夢」や「憧れ」の対象である「宇宙」をテーマにして、「みんなで応援する」というコミュニケーションだが、「応援する対象をシンプルに」というのを心がけた。

<その他コメントなど>
・岸さん曰く、「この年に一番嫉妬したプロジェクト」。
「ソーシャルメディアを使ったキャンペーンはユーザー任せ、みたいにクオリティがおろそかになりがちだが、これはクオリティがとても高くて、それが非常に重要だということを認識させてくれた」とも。


●NIKEiD FRIEND STUDIO/NIKE

Webサイトキャプチャ
Webサイトキャプチャ。みんなが作った靴とその掲載バナーイメージが一覧で見られるトップになっている。

<目的>
若者への認知&バナーを価値あるものに

<成果>
UU:213万人/登録デザイン 90万種/CTR:PC 通常の約11倍 モバイル 通常の約16倍/COOLボタンクリック数:640万回

<概要>
・mixiとバスキュールの合弁会社「バスキュール号」社の制作第一弾。

・アクションまでの流れ

ユーザーがmixi上のツールで、オリジナルデザインの靴を作る

それが友人のページに名前や画像入りでバナーとして表示

デザインを友人が評価 ※

「自分のデザインってイケてるかも!?」 ※

購買・拡散

※の部分、「(友人からの反応→自身の気づき)につながり、結果的に人の気持ちを動かした」という点が重要。

<その他コメントなど>
・朴さんコメント
「今ここにすごい面白い本があるって言っても、その本よりも、今すぐそばにいる人の方が面白いし、絶対に大切。
その気持ちをつかまえることが大事。人とのつながり=コンテンツになる」


●mixiXmas 2011/mixi

Webサイトキャプチャ
Webサイトキャプチャ。コミュニティ内のクリスマスという世界観が伝わる。

<目的>
国内最大のネットイベント&他に類のない広告体験

<成果>
・1カ月、毎日100万人がアクセス!!

・Loppiのクーポンプレゼントなど、スポンサーが約30社もつく大掛かりなイベントに。

・3日間限定で、CMで0時になったら「今アクセス中の方にプレゼントをお届け」と告知。
日にちも時間も限定した中で、コアな15万人がCM→WEBにアクセス。

・ベルを鳴らした回数 1億80,000,000回/靴下登録 2600,000人/総つぶやき 5000,000/ソーシャルギフト販売数 16,000件

<概要>
・mixiとTwitter連携第一弾。
クリスマスという最大のイベントをネットで祝おう!
マイミクと協力しながら、クリスマスプレゼントをゲットするmixiアプリ。

・アクションまでの流れ

友人の靴下にベルを鳴らす

靴下レベルアップ!

パーツ取り替えて、自分好みにデコレート

クリスマスプレゼント応募券ゲット

・SNSに「あいさつ」という機能があるが、なんかよくわからない。
同じくらい気軽に、でももっと喜ばれるもの、うれしいものにしたらいいんじゃないか
→クリスマスになぞらえて、「ベルを鳴らす」に。


【3】岸さん

●TOYOTA AQUA SOCIAL FES 2012/TOYOTA 「AQUA」

Webサイトキャプチャ
Webサイトキャプチャ。川や海を守るもの、トンボを守るものなど、各都道府県毎のプロジェクトとその他コンテンツ、バナーが一覧で分かるサイトになっている。

<目的>
TOYOTAのハイブリッドカー「AQUA」の販売促進

<概要>
○オリエン
「AQUAは短期的には広告なしで売れますが、それでも広告をやる意味がありますか?」
→「広告はいらない」という、広告業界への挑戦状だった

○戦略
・TOYOTAという企業自体が「明るい未来」を目指していて、この「AQUA」でそれが「本当に作れる」と信じている。
その企業の想いを広告にも反映したい。

300時間以上のブレストの結果

企業広告として初めて、「企業プロモーションの延長で社会貢献活動を展開」(=広告宣伝費の新しい使い方)

(1)購入検討者に強力なファクトを伝えるプロモーション
(2)興味の低い人でも興味をもってもらえる、好きになってもらえる振舞い

ex.)水をテーマに、全国各地のメディアやNPOと連携して自然環境保護活動をする

○感動的なプレゼンテーション
「プロモーションで大量の宣伝費を使うことになります。お金の使い方として、

“あの広告を作ったの、トヨタなんだ"

というよりも、

“あの川を作ったの、トヨタなんだ"

という方が明るい未来を作る上で、
よっぽど価値のある、素晴らしいお金の使い方ではないですか」

○その他コメント
・from「SAY」to「DO」
→言葉だけでは解決できない、言葉以上に態度で示す。
広告を作る上で、よく「What to SAY」「How to SAY」と言われるが、言うだけではもうダメで、それを実践しないと人も動かない。

・広告が「透明化」されていっている
-これまでブランドは生活者と商品の間で完結
-商品を通して、企業の振舞いが見えるように
-その先の経営者の考え方も見えるように

・今まで企業広告には「企業+社会性」が重要だったが、現代はそれに加え「個人の納得感」が重要になってきている。
→強い意思、想いが「個人の納得のいく形で」実現することが大事

・大事なことは、「ソーシャルメディアをどう使うかではなく、どういうモノ、コトがその上で流れていくかを考える」こと

・日本のものづくりをトヨタは見捨てない
→海外で作った方が確実に安いのに、被災地支援のため、AQUAは岩手の工場で作っている。

AQUA FESもそうだが、TOYOTAが本当に日本の明るい未来を信じているからこそ、できることで、
プレゼンをした岸さん自身もその姿勢に感動していました。


◆バスキュール 朴氏講演の感想/三瓶◆

人の心や気持ちにフォーカスしたサービスの台頭、
点と点がつながって網羅的に発達するコミュニケーション。
便利さだけの時代は終わり、いまは人と人のつながりが重要視される。
人の手が関わっていると感じられる「実在感」の時代。
朴氏はエモーションこそが大事と語り、「とにかくキーワードは人」メッセージが強く伝わってきた。

また、SPACE BALLONを例に、成功させるためのポイントを3つ語っていた。

(1)骨子はシンプルにする
「Galaxyだから宇宙。」
「風船は上がる?」

(2)不確定要素があってはならない
結果は確定的である必要がある。
ソーシャルメディアを活用するにあたり、ユーザーのテンションに結果が依存してはいけない。
バックグラウンドを完備してはじめてエモーショナルな演出が実現可能となる。

(3)チャレンジは3回がベスト
1回目でちょっと失敗しても
2回目で教訓をいかしてトライできて
3回目でだいたいカンペキになる
そして
4回目でダレる。


◆電通 岸氏講演の感想/村上◆

10人が聞いたら、10人それぞれ違う感想、気づきがあったと思えるような講演でした。
終わった後に不思議な高揚感、グルーヴ感みたいのがあったんですよね。

単純に賞をとるようなプロジェクトの裏側が知れたとか、成功のノウハウを学べたとか、そういう表面的なことでは全然なくて、モノを作ったり、プロジェクトを進める上で

「何を大事にすべきか」
「どういうことを考えるべきなのか」

みたいなことを考えさせられたことが大きかったです。

自分が感じた「大事なこと」は、3つあります。

(1)自分だけの視点を持つこと
スピーカーの3人とも、それぞれ大事にしていることも、モノの見方も違う。
でも、共通してるのは自分の視点で自分の考えを話していたこと。

それが深い洞察の上に成り立っているから、
あまり人が気づかないような、物事の本質を突いているのかな、と。

(2)プロジェクトを進める上での一体感、納得感、それを届ける先の一体感、納得感
前者はプロジェクトメンバー間の話で、後者はクライアントやユーザーです。

そもそもこの企画なんでやるんだっけ? みたいな迷いやブレみたいのがなくて、
一貫した軸、芯があるからこんな大きなプロジェクトができたし、
クライアントにもユーザーにも届いたと思うんです。

会場で話を聞いてた人たちが、仮にプロジェクトメンバーでも やる気になったんじゃないかな、と。
それぐらいの「熱」がありました。

(3)人の心の機微を察する、つかむ
これも気づきになりますが、結局、人が中心なんですよね。当たり前ですが。
作るモノも、伝えるモノも、受け取るモノも。全部、人間が中心にいる。

今って物質的な満足じゃなくて、精神的な満足だったりが求められてるので、
「どういうことをすればうれしいのか」を真剣に考えることが大事なんですね。