Reports レポート

ニフティクリエイティブデザイン部の部員が参加した、「セミナー」や「展示会」のレポートです。

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担当- 赤池 智美

日付- 2012年06月09日

【ぴよぴよ通信第5回「トップデザインセミナー」第1回原研哉氏

ぴよぴよ通信
ひよこデザイナー2人が日々勉強しているデザインのこと、展示のレポートなどをお届けするレポートです。


今回は、先日行ってきた原研哉氏のセミナーについてのレポートです。

【目次】
■このセミナーの意図
■講義の内容
■講義を受けて考えたこと
■(オマケ)その後の出会い


■このセミナーの意図

このラウンジは、私の出身校でもある武蔵野美術大学が
企業やデザイナーなど日本を支えるデザイン界の方々にメッセージを発信する場を提供したい、
という意図で「武蔵野美術大学デザイン・ラウンジ」と称し新しい試みとして設立した場所です。
そこで、領域を超えたデザインの醸成の場として始めた講演会の第1回が今回のセミナーでした。

会場は六本木ミッドタウンのデザインハブ。 お客さんは学生や私たちのような20代のデザイナーらしき人が多かったようです。

■講演の内容

最近私は原さん著の「日本のデザイン」という本を読んだのですが
その内容とほぼ同じでした。
「日本のデザイン」も今回の講演も原さんが持っているデザイン感、進めている
プロジェクトの概要だったので同じ内容となったようです。

全体を通して原さんが通していたコンセプトは
「デザインを通し、日本の強み・これからを見極める」ということだった気がします。

講義はプレゼンテーション形式で、3つのセクションにわけて進行されました。
以下その3つの内容にわけて概要を説明していきたいと思います。

【EMPTINESS】
まずは一番始めの導入。
そもそも日本の価値観は「空っぽ」に根付いているという話です。

神社の中味はそもそも空っぽ。そこに神を見出してきた日本人。
西洋の建築などに見られる複雑さに見出される力ではなく、
空っぽに何かをおいて空間を成立させる方法に日本文化の基本と力があるのではないか。

シンプルではなくエンプティ。
最小限のものにしぼったそこにあるデザインこそ日本的ではないか。
何もないことというリッチを感じよう。

という日本のデザインの基本からまず入っていきました。

【センスウェア】
デザインの役目のひとつに、原さんは「産業の可能性の可視化」を掲げいています。
その具体的なプロジェクトのひとつに日本の繊維産業の次の展開というテーマに取り組んでいました。

服飾の分野に縛られない日本の繊維の可能性に目をつけた原さん。
今日本で開発された繊維をもとに展覧会をすでに行っています。
それが「センスウェア」というものです。
超撥水性の繊維を使った水滴の文字の展示、強度が非常に高い繊維による軽量の椅子の設計、
などデザイナーと企業を結びつけモノを提案した展示を行いました。

【ハウスビジョン】
「産業の可能性の可視化」の二つ目のお話。
住居について日本の産業の可能性があるのではないか、という提案でした。

ライフスタイルが非常に多様化している日本。なのに画一化された同じような住居の形にみな
収まっているのはおかしくないか?
人口が減少傾向にあるなかで、住居の数は変わらない。
そこに高度経済成長を経験した日本には、リノベーションという産業の可能性があるのではないか。
例えば、複合化家電としての家。裸足で家の中に入る日本人は住居に体調を管理してもらえる可能性がある。
現代のライフスタイルに合った家を作りたい。料理を全然しないのなら冷蔵庫の上にシンクがあるだけのキッチン。
四角に区切るだけでなく、曲線で区切られた部屋も提案できるのでは。
日本は新しい住居スタイルの提案を世界のどこよりも早く発信できるはず。

などなど、わくわくするような企画をいっぱい話されていました。
そして今またこの住居に関する展示を行おうと、企業と交渉中、会場の設計プランも見せていただきました。
(まだ秘密情報が多いのですが話してくださいました)
住居を変えていこうというこの展示。行きたいです…早く実現しないかな…

■講義を受けて考えたこと
講義全体を通して、原さんの「デザインの力」を信じる考えに圧倒されました。

まず、デザインの本質を体得する。
その上で製品を作る。
さらに産業までデザインしてく。
そして日本の未来の可能性をデザインは広げられる。

という論の展開に本当にわくわくしてしまいました。
原さんの才能が製品デザインにとどまらず、さらに大きな仕事をしよう、
今の日本の未来さえ変えることができるのでは、と動いていく様子がダイナミックで
魅了されてしまいました。
こんな風に大きな視点を持ってデザインの可能性を信じ、
私も仕事を動かせしていきたい!そうせねば!と非常に士気があがりました。

■(オマケ)その後の出会い
原さんの講演のあと、このセミナーの試みが第1回ということもありムサビラウンジが主催で
立食パーティーがありました。
そこでこのラウンジを立ち上げたムサビ基礎デザイン学科の主任教授とお話する機会があったのですが
その方から大変面白い話をたくさんお伺いすることができたのです。
このセミナーは日本のデザインの活性化、社会とのつながりを目的に今後定期的に開催していくと
意気揚々と語っていらっしゃり、熱意を感じることができました。
デザインとは何か、と質問に対し「他人の生活をよく見て、プレゼントすることだよ」
と優しい笑顔で答えてくださったのが非常に印象的で、なんだかじんわりきました。


以上非常に印象に残るセミナーでした。
月1で開催されるということですが、毎月参加してデザインを通し人とのつながりも広げていきたいと思っています。