Reports レポート

ニフティクリエイティブデザイン部の部員が参加した、「セミナー」や「展示会」のレポートです。

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日付- 2012年09月07日

【ぴよぴよ通信第15回】「民藝とは何か」を読んで

ぴよぴよ通信
ひよこデザイナー2人が日々勉強しているデザインのこと、展示のレポートなどをお届けするレポートです。


こんにちは。ぴよ通です。
今回は、書籍「民藝とは何か(柳宗悦)」についてのレポートです。


【目次】
■「民藝」とは何か?
■書籍より「民藝」とは
■今の私たちの生活に見る民藝の心とは


■「民藝」とは何か?

ぴよぴよ通信第13回のレポートでは「民藝館」に行ってきたことを書きました。

その時のレポート内容は「生活の中の美」という概念が、
私たちの生活をものすごく豊かにしてくれるのではないかというものでした。

しかし、レポートを書き終えたあと、
「民藝館」に対して、
心にひっかかかる思いが湧き上がってきました。

そのひっかかりの原因を解くために
今回改めて民藝館の創立者である「柳宗悦」さんの著書、
「民藝とは何か」を読んでみました!


■書籍より「民藝」とは

以下、民藝について分かりやすい文章を抜粋してみました。

まずは「民藝」の定義についてです。
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民藝とは民衆が日々用いる工藝品との義です。
それ故、実用的工芸品の中で最も深く人間に混じる品物の領域です。(中略)
民藝とは民器であって、普通の品物、すなわち日常の生活と切り離せないものを指すのです。
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そして次は、なぜ民藝品が美しいのか記載された部分です。
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なぜ民藝品が美しいか、それが用品中の用品だからと云えないでしょうか?
人々はそれなどのものを用いずしては、日々を暮らすことができないのです。
しかもそれは一般民衆の日常生活に最も多く関係してくるものです。(中略)
かくして用に交ることに置いて、ますます美にも交わってくるのです。(中略)
用は美を育む大きな力なのです。
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上記のような内容がさらに詳細に分析されながら本書は進んでいきます。

そして最後、各種民藝品の写真と各品への柳宗悦の分析が記入されていました。
湯のみや絵馬、着物の文様など、
具体的にどういった部分が美しいと感じるのか具体的に解説されています。

そしてこの分析の中に、
私の心のひっかかりの糸口が見えてきました。


■今の私たちの生活に見る民藝の心とは

柳宗悦の分析を読んでいく中で気づかされるのは、
柳宗悦が美しいと評する民器たちの多くは現代生活の中ではもう使われていないということです。
ここにひっかかりの原点がありました。

茶釜や経机、印箱といったものをそもそも使ったことがないであろう私たちにとって、
柳宗悦の言う「用の美」を体感することができないのです。

柳宗悦が生まれたのは1889年。
今から123年も前に生まれた人物になります。
123年の時を経ていくにつれて
衣食住に纏わる形式の変化や
生活必需品の用途や機能が複雑に進化してきました。

衣食住の変化を挙げてみると、
例えばコップひとつを購入するにしても
100円均一のものから、輸入品、そして日本の伝統品というように
選択の幅が複雑かつ多様になってきています。

また生活必需品の用途や機能の複雑化という点を見てみると
掃除機ひとつにしても
毎年のようにスペックや新機能が搭載されて新商品が開発されています。
お客が選ぶ時も、「ゴミが吸える」という機能を満たす以上に、
スペックや新機能を重視して選択する点も大きな変化のポイントとなってきます。

柳宗悦が見出した「民藝」の心を現代の生活の中に見出すには、
日本の伝統器や手作りっぽいものに
「昔の日本の品は良かった」と短絡的に浸るようでは本質を得ていません。
ただの回顧主義ではいけないのです。

柳宗悦の時代以上に
良い意味でも悪い意味でも選択の幅が広がった現代だからこそ、
個人レベルでの「生活の美」への意識を
成立させることが求められる時代になっていると思います。
本当の意味で自分の生活を豊かにしてくれる美の判断基準を持つことが
柳宗悦の「民藝」の心を活かす第一歩になるのではないでしょうか。

そして「個人レベルの生活の美」を確立していく先に、
「日本らしさ」や「地域性」を再考していくことが、
柳宗悦や原研哉が強く提唱してる「日本のデザイン・日本の伝統」といった
思想に深くつながっていくのではないかとも予感させられました。


皆さんも一度ぜひ、「民藝とは何か」を読んでみてください!
「民藝」の思想は、私たちの日常に、
大きな問いかけを与えてくれるような気がしてなりません。