Reports レポート

ニフティクリエイティブデザイン部の部員が参加した、「セミナー」や「展示会」のレポートです。

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担当- 岡田 泰輔

日付- 2013年11月15日

フィールドワークで新橋を探訪してきました。

先日、フィールドワークで新橋を探訪してきました。
さまざまなスポットを巡りましたが、
その中で印象深かった旧新橋停車場で学んだことをもとに
「イメージ」について考えてみました。

■旧新橋停車場で歴史を知る。

現在の新橋駅は2代目で、1代目のあった場所が旧新橋停車場です。1代目の新橋駅は横浜駅との間を結ぶ日本初の鉄道の起点駅として開設されたそうです。数十年前に取り壊されましたが、採掘の途中でその跡が発見され、旧新橋停車場として当時の状態に復元されました。
ここでは、東京が今に至るまでの歴史を紹介するコンテンツが用意されており、現在はサラリーマンの聖地と呼ばれている新橋が、かつては東京への玄関口であった時代を知ることができました。

■歴史と街のイメージ

新橋の歴史を知った上で、周辺の街並みを改めて見ると、それぞれの地区のイメージは歴史と人によって変化し、今に至ると気づきました。旧新橋停車場に近い場所から例を挙げると、新橋は“居酒屋”、銀座は“高級”、築地は“市場”といったところでしょうか。言葉は違えど、近しいイメージをそれぞれの土地に抱くと思います。今回は旧新橋停車場で学んだ築地と銀座の歴史について紹介すると共に、街のイメージが定着した理由に焦点を当てて考えてみます。

‐築地と市場

築地には1代目の新橋駅完成と同時に海軍関係の施設が建てられたそうです。築地が市場となったのはその後で、関東大震災の発生で東京各所の市場が壊滅し、陸路、海路が充実した築地に臨時で開設したのが始まりです。その後、築地は買い付けに出向くことも容易で、漁場も近く新鮮な魚をすぐに競りに出せるということもあり、瞬く間に市場として拡大していきました。しかし、この時の築地は関係者しか入ることができなかったため、今ほど“市場”というイメージは広まっていなかったと思います。現在の築地を見ると業者のみならず誰でも入れるオープンな市場となっています。転機は、築地市場の売り上げ不振だったようで、売り上げ改善のために業者以外の入場規制を解除したそうです。オープンになり、市場以外での楽しみとして、築地の強みである生鮮品を活かした飲食店を集結させたことで、遠方や海外からの観光客が足を運ぶようになりました。こうした歴史を経て築地=“市場”という今のイメージが多くの人に根付いたと思います。

‐高級な銀座

昔は『銀ブラ』という言葉がありましたが、銀座は要件もなく歩くことに適した場所でした。そして今でも流行の最先端が集まる土地となっています。ではなぜ、銀座は目新しいコンテンツに富んでいたのでしょうか。私は、新橋駅完成以前の街の特長にその要因の根幹があったと考えています。1つ目は近辺に外国人居留地があり異文化が多く入ってきやすい環境であったということです。2つ目は銀座が大火事によって焼失したことで、不燃化と文明開化の象徴を目的として煉瓦街になったということです。
以上の特長から、街自体に異文化要素が強くなり、新橋駅の完成によって人が集中するようになったと推測しました。そして、海外のみならず日本においても商業的に流行の発信地として利用されるようになり、銀座=“高級”というイメージが段階的に定着したと思います。新しいものは高いという純然たる事実があり、そこでお金を使う人たちをターゲットにしたお店が軒を連ねる。こうして、銀座にブランド感が生まれ銀座=“高級”というイメージが広く周知されるようになったと思われます。

‐イメージを逆手に取る

銀座=“高級”というイメージがあると書きましたが、このブランドイメージを逆手に取り、成功しているお店をフィールドワークで見つけました。それは、銀座に店をかまえる「俺のフレンチ」です。ここは本来高級なフレンチを、安価な値段で提供することを売りにし、人気を博しています。しかし、人気の秘密は場所にもあると思います。高級でハイクオリティな飲食店が立ち並ぶ銀座で、高級なフレンチを手頃な価格で食べられるとあれば行ってみたくなりませんか。もし安くてうまいお店が建ち並ぶ土地に建てたのならば、今ほどの人気はでなかったと思います。これこそが銀座=“高級”というイメージを逆手に取ったコミュニケーション戦略だと思います。現に「俺のフレンチ」を展開する「俺の株式会社」は銀座、恵比寿、日本橋といった高級感ある土地に出店していました。

■まとめ

今回のフィールドワークではデザインとはかけ離れた場所にも訪れましたが、視点を変えて物事を見るきっかけになりました。一見関係性の薄い場所でも学びと発見があり、コミュニケーション戦略は、いかに大衆が抱いているイメージを上手に利用できるかが大事なことだと気づきました。また、そのために、イメージはどこから生まれ定着したのかを考えることは、コンセプトメイキングをする上でも、戦略を企てる上でも重要ではないかと思います。